こんばんは
管理人の彰篠宮です。
今回の記事は、市中に溢れる様々なモノに物欲を刺激されまくっている小生が、その素晴らしいモノについてつらつらと書き綴る「物欲求道」記事の序章です。
1.モノは人なり
フランスの法律家・政治家であったブリア・サヴァランは、その著書『美味礼賛』のなかで次のように書いています。
Dis-moi ce que tu manges, je te dirai ce que tu es.
《Physiologie du goutから》
どんな意味かと申しますと「君がどんなものを食べているか言ってみたまえ。 君がどんな人であるかを言い当ててみせよう (白水社 『美味礼賛』 関根秀雄訳)」で、最近は、TBS系の番組「人生最高レストラン」のオープニングでも、このブリア・サヴァランの名言が使われていますね。
この名言には元ネタがあるらしく、『ドン・キホーテ』の著者であるスペインのセルバンテスによる
「どんな人とつきあっているか言ってごらんなさい、そうすればあなたがどんな人が言い当てて差し上げましょう」
をパクったそうです。
でも、こうした事って、何も食や交友関係に限られた事柄ではありませんよね。趣味に関するものや、それこそ身の回りに置きたいものの選択には、必ずその個々人の人柄・人となりが反映されると言っても良いと思います。
小生を含め、拙文に目を通してくださった方々の身の回りにあるモノ、使っているモノすべてがその持ち主の姿を映し出す鏡と言えましょう。
すなわち、
「モノは人なり」
なのです。
2.モノを選ぶ事の難しさ
身の回りにあるモノを通じてでさえ、オノレのありのままの姿が他人の目に丸見えになってしまう…、考えてみるとこれはチョト怖いことです。
いいかげんにモノを選び、そんないいかげんなモノに囲まれた人は、自分自身のいいかげんさを世の中に晒していると言っても過言ではありません。
だからこそ、モノを探し、選ぶことをなおざりにしてはイケないのではないでしょうか。
良いモノは何か?
安くて良いモノは何か?
いま買うべきモノは何か?
そうした視点でしっかりとモノを探すためのお手伝いをするのが、このサイトを作った目的です。素晴らしいモノたちをご紹介し、お役に立てれば幸いです。
3.チョト余談ですが…
冒頭に挙げたブリア・サヴァランの著書の邦題『美味礼賛』は絶妙な命名だと思います。
原題の《Physiologie du gout》は直訳すると「味覚の生理学」とまぁ、なんとも素っ気ないんですよ。
原題は副題まで含めるととても長く、Wikipediaで調べますと
Physiologie du Goût, ou Méditations de Gastronomie Transcendante; ouvrage théorique, historique et à l’ordre du jour, dédié aux Gastronomes parisiens, par un Professeur, membre de plusieurs sociétés littéraires et savantes
《味覚の生理学、或いは、超越的美食学をめぐる瞑想録;文科学の会員である一教授によりパリの食通たちに捧げられる理論的、歴史的、時事的著述》
(Wikipedia「美味礼賛」から引用)
だそうで、美味礼賛というのとも少し趣が異なる印象です。
この『美味礼賛』は長らく関根 秀雄氏や戸部 松実女史が訳された書籍しかありませんでした。下の画像の一番上が白水社から刊行されているハードカバーの単行本で、この書籍は所有する喜びも感じられる素晴らしい書籍です。二番目・三番目は岩波書店から刊行されている文庫本です。こちらは戸部 松実女史も翻訳に参加しておられます。
ところが、近年、この関根秀雄氏の書籍よりも遥かに読む楽しさを感じさせる名訳が発刊されました。長野県東御市(とうみし)にヴィラデストというワイナリー&レストランを経営しておられる画家で作家の玉村豊男氏が手掛けられた翻訳のものです。
下の3枚の画像、一番上が新潮社から刊行されている単行本、二番目・三番目は中央公論新社から2021年1月に刊行された文庫本です。
関根秀雄氏の翻訳は幾分退屈で冗長ですが、この玉村豊男氏のものは、とにかく飽きさせません。単行本は400ページ以上ある長大な1冊ですがあまりにも楽しいので一気に読めてしまうくらいです。さらに、このブリア・サヴァランの原作の周辺にある事柄にも解説が及んでおり、関根秀雄氏の訳を読まれた方にも、初めて『美食礼賛』を読まれる方にもおすすめの1冊です。
単行本・文庫本のどちらにされるかはご自由に。単行本は所有する喜びがありますし、文庫本の書籍保管スペースでその存在を過度に主張しない控えめな存在も魅力的です。
いかがでしたか
今回は、小生がモノを選ぶときの気持ちや、そうした気持ちになった由来などについての記事でした。次回からは色々な商品をご紹介できたら、と思っています。
それではまた。
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