こんばんは
管理人の彰篠宮です。
今回は、IOC首脳が五輪・パラリンピック東京大会に関して語った談話の論調が余りにも高飛車なので、それについてあれこれ書きたいと思います。
「やれるかやれないかではなく、どのように開催するかだ」
IOCのバッハ会長は2021年1月に、表題の発言をしています。
これは、株式会社文藝春秋が運営する「Sports Graphic Number」のWeb版Number Webの記事
「“IOCの収益源” アメリカが完全に「脈アリ」状態…東京五輪、開催可能性が高い3つの理由【英国からの視点】」から抜粋したものです。
また、その際、日本国内で8割を占める五輪開催に対する反対意見があることへの反応を問われ、バッハ会長は、その世論に一定の理解を示しつつも次の様に述べています。
「レストランに行けるのか、友人や家族に会えるのか分からないような状況の中、五輪開催について懸念し、イメージができないのは、1人の人間として理解できる」
「政府やIOCの責任は、視野を広げて見ることだ。五輪をやるかどうかではなく、どのように開催するかと言える正当な理由が多くある。今でも3000人規模の大会が行われ、専門家からの助言、ワクチン、迅速な検査方法がある。スポーツは困難な状況下でも生き続けているし、確固たる根拠に基づいている」
この状況に、スポーツライターの長谷部良太氏はバッハ会長に次のように問いを投げかけています。
「IOCや大会組織委は、中止する場合の明確な基準を示すべきではないか。日本の人々の支持を取り戻し、スポーツ界に対して公平であるためにも。どのような状況ならIOCは大会の中止を検討するのか」
これに対するバッハ会長の回答は、
「我々の仕事は五輪を開催することで、中止ではない。選手たちの夢を実現させるのが仕事だ。だから、安全な東京大会を運営するために昼夜を問わず取り組んでいる。それが、いかなる臆測の炎にも油を注がない理由だ」
とにべもないものでした。
2021年1月は、日本では新型コロナウィルス感染症の陽性者が拡大を続け、2度目の緊急事態宣言が発出されようとしていた時期でした。このような感染拡大の状況で、半年後に巨大なスポーツイベントを開催しようとする当事者が何とも無責任な発言をする有様に強い違和感を覚えました。
「Covidへの対処は日本政府、東京都の責任」
IOC調整委員会のジョン・コーツ委員長はこの様に語っています。
これは、株式会社文藝春秋が運営する「Sports Graphic Number」のWeb版Number Webの記事
「IOC重鎮に本音を聞いた「五輪は開催する」けど「感染拡大なら日本に責任」… 埋まらない世論との溝、海外メディアも悲観的なまま」から抜粋したものです。
この記事のスポーツライターの長谷部亮太氏のものです。
長谷部氏はコーツ委員長に次のように尋ねています。
「五輪期間中や大会後に日本で感染が拡大したら、誰が責任を取るのか」
それに対するコーツ委員長の回答は以下のものでした。
「大会前後や大会中のCovid(新型コロナ)への対処は日本政府の責任であり、程度は下がるが東京都の責任になる。IOCとしては、感染拡大や日本国民と(選手ら)の接触を最小限に抑えるため、政府や東京都、大会組織委員会との合意の上で可能な限りのことをやっている。その部分には責任がある」
さらに次のようにもコーツ氏は述べています。
「(大会中止の検討は)全くしていない。組織委や日本(政府)、東京都、JOCも検討していないことを知っているので、そういうコメントが出るのは少し面白い。我々は(JOCの)山下(泰裕)会長から全面的な支持を得ている」
このコーツ氏の発言にある「コメント」というのは、2021年3月にJOC理事の山口 香女史の以下の発言です。
「私は(IOCが)国民に安心、安全ということを言うのであれば、『最後の最後でどうしても駄目な時は当然、中止もあり得ます』ということを言うべきだと思います。『どんな状況でもやる』と言われると、たとえば頂上が目の前にあるから、こんなに天候が悪いのに、荒れているのに、命がけで(頂上まで)行くんだと言われているのと同じ」
小生からすると、山口香女史の発言は至極真っ当なものと感じられます。もし、JOC会長の山下泰裕氏が「何が何でもやるんだ」と考えているなら、それは国内の状況を全く無視しているものであると言わざるを得ません。
さらに、コーツ氏の発言も日本国内の状況や世論の趨勢を全く考慮せず、IOCは感染拡大の防止には少しだけ協力してやるが、オリンピック開催時のコロナ感染の責任は全部日本と東京都で負え!と言う事を言ってるようにしか思われません。
なにゆえここまで言われなければならないのか?ムッとすることこの上無し、といった気分です。
そして、現時点でのトドメはこの発言です。
緊急事態宣言「五輪には影響しない」
IOCのバッハ会長は4月21日に行われた記者会見で次の様に述べています。
「ゴールデンウイークに向けて、政府がまん延防止のために行う事前の対策だと理解している。東京五輪とは関係がない」
「高いワクチン接種率によって選手村は非常に安全な場所になる」
JOCが五輪開催に対して前のめりになっているので、まさに言いたい放題の内容ですね。ネット上でも、この発言は非常に不評で、Twitterでは「#東京五輪と無関係」が4月22日にはトレンド入りしたほどです。
実は、このバッハ会長のトンデモ発言があった4月21日には、日本の五輪・パラリンピック東京大会組織委員会の事務総長 武藤敏郎氏が、海外メディアから
「もし大会中に緊急事態宣言が出されていたらどうなるのか?」
と問われ、次の様に回答しています。
「仮定のご質問への回答は控える」
「我々は徹底したコロナ対策を講ずることで開催に向け準備している」
ぃゃ、これは回答になっていないでしょ…
武藤事務総長といえば、もと大蔵官僚で、ノーパンしゃぶしゃぶ事件(大蔵省接待汚職事件)で職員に対する監督責任をとらされたことで有名な方だけあって、上の答弁はまさに「官僚答弁」と言わざるを得ないものだと思います。はっきりと申せば、現在の無能な政府・東京都・JOC・組織委員会では、安心安全を確保した五輪ができるとは俄に信じられません。
とにかくですよ、今は、国内的には、五輪開催を云々するよりもコロナ感染拡大を抑止させ、さらにはコロナによって様々に厳しい立場にある方々を救済するのが最優先課題だと思います。そのためにも、一日も早く聖火リレーも五輪・パラリンピック東京大会も中止して、予算を無駄にせず、コロナ対策に充てて頂きたいと考えます。
如何でしたか?
今回は、IOC首脳が五輪・パラリンピック東京大会に関して語った談話の論調が余りにも高飛車なので、それについて「IOC首脳の高飛車な態度に対して違和感が沸騰する…という話」と第して記事を書きました。
困った事があり、それを解決するためにはプロのスキルに頼るのが良いということを痛感しました。昔からいうところの
「餅は餅屋」
という言葉は、極めて普遍的な真理であることを改めて知りました。
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