こんばんは
管理人の彰篠宮です。
今回は、”はったり男爵”ことIOCのジョン・コーツ調整委員長が5月21日の会見で「東京五輪は緊急事態宣言下でも開催する。」と述べた事についてあれこれ書きたいと思います。
コーツ調整委員長談話採録
東京五輪の準備状況を監督するIOC調整委員会と大会組織委員会は5月21日、3日間のリモート会議を終え、IOCのジョン・コーツ調整委員長と、組織委の橋本聖子会長・武藤敏郎事務総長・組織委スポークスパーソン高谷正哲が会見し、その際に、記者からの質問に対する回答もweb上には出てきています。
当日のコーツ氏の発言には幾つか気になる点があり、それを先ずピックアップします。
記者からの質問の前に、コーツ氏は
「東京五輪は実施段階に入った」
「選手の新型コロナウイルスワクチン接種を支援する準備は整っている。」
「安心・安全な大会の実施に向け、日本のパートナーと協力を続けている」
と述べています。
その後、以下の質疑が行われています。
大会開催中に東京に緊急事態宣言が出されたら、開催するのか?
「緊急事態宣言の下で5競技のテスト大会が行われた。最悪の状況を想定して行われて成功している。答えはイエスだ。我々が示している対策を実行すれば、安全安心な開催はできると言われている。これは緊急事態宣言下であってもなくてもだ。」
【東京五輪】緊急事態宣言下でも開催? IOCコーツ氏「答えはイエスだ」(5月21日東スポWeb)
過去大会に比べて未曽有な状況。なぜやらなければいけないのか?
「非常にユニーク(他に類を見ない)な状況だ。延期の大会などは今までになく、今回のように疫病が流行した状況もなかった」
「じゃあ、なぜやるのかと言うとアスリートのためだ。アスリートたちが夢を果たせるように。ほとんどのアスリートは1回しかチャンスがない。彼らの望みは非常に強いものがある。世界のベストな選手と競って、夢を実現したいと熱望している。それを満たしてあげるのが我々の仕事。それを五輪が提供するのです」
この質問に対しては、日本国民に対するコメントもあります。
「私にとって最も大事なことは日本の国民の安全を守ること。これが一番大事です。そして次に大事なのはアスリートに競技するチャンスを与えることです」
【東京五輪】IOCコーツ氏が力説「五輪をやるのはアスリートのためだ」(5月21日t東スポWeb)
日本国内の世論調査で過半数が開催に反対している現状について
「ワクチン接種率と世論調査に相関がある。ワクチン接種者が増えれば世論調査の数字も良くなることを期待している」
東京五輪、緊急事態宣言下でも開催とIOCのコーツ氏(5月21日ロイター)
とまぁ、コーツ調整委員長はこの様に述べていますが、テスト大会は何れも無観客で行われており、国内観客の取り扱いが方向づけされていない現状では、片手落ち状態の検証であると思います。国内観客に関しては、今回の会見で組織委員会の橋本会長が
「観客を入れることは、感染状況によっては安心安全ということが実感できない限りは非常に難しいと思っている」
と述べたに留まっております。
話が些か脱線しますが、無観客もありうる状態で、五輪・パラリンピック東京大会には児童を招待する…というとんでもない話がでており、こちらも看過出来ない話題です。
今回行われたテスト大会では選手は宿泊先の部屋に缶詰にされ、食事は弁当を差し入れ、それでも足りなかった選手にはカップラーメンを差し入れたとのことです。選手のコンディショニングは、非常にデリケートなもので
- トレーニング
- 休息
- 食事
- メンタルのコントロール
など多岐にわたっており、本来ならば、事前に競技開催地に入り調整を行うものですが、それが今回の大会の場合は極めて限定的です。さらに、食事に関しては様々な競技に適した栄養摂取が望ましく、弁当+カップ麺では十分に管理が行き届いた食事とは到底いえません。
こうした状況下で調整に臨まなければならない選手達に対し、「五輪をやるのはアスリートのためだ」とはもともとボート競技の選手であった人間(コーツ氏のこと)とは思われない発言です。
この発言に組織委員会も頭を痛めている
共同通信が2021年5月に行った世論調査によると、五輪・パラリンピック東京大会について「中止するべきだ」が59.7%に上っている中で、今回のコーツ氏の発言があったことで、組織委員会は頭を痛めているそうです。
2021年4月に行われた組織委の会見では、海外メディアから「もし大会中に緊急事態宣言が出されていたらどうなるのか?」との質問された武藤事務総長は、
「仮定のご質問への回答は控える」
と官僚答弁丸出しで回答せず、その後は、政府・組織委員会・東京都などが「安心安全…」とお題目の様に唱えてはぐらかす事を続けてきていました。ところが、今回の会見では、IOCが日本側のそうした事情を全く意に介さず、「開催する」と断言したものですから、早くもTwitterやFacebookなどでは炎上気味になっています。Twitterでは5月22日午前7時現在でトレンドの20位に入っているほどです。
このコーツ氏の発言の背景には、IOCとしても開催ムードが全く高まらない日本の状況に「イラ立っていた」という事もあるらしいのですが、とにかく、放たれた言葉は戻すことは出来ません。
デイリースポーツは「火に油」と見出しに書いていますが、沸き上がった国民の怒りを抑える為に、五輪をやりたい人たちが何をするのか見守りたいと思います。
IOC・コーツ氏「緊急事態宣言でも開催」に頭抱える関係者「火に油」世論の反発必至(5月21日デイリースポーツ)
【東京五輪】緊急事態宣言下でも開催 “はったり男爵” コーツ発言に非難殺到!「本性を見た」(5月21日東スポWeb)
緊急事態宣言下でも東京五輪強行へ、IOC不退転の決意でさらなる逆風必至(5月21日スポニチアネックス)
「緊急事態宣言下でも五輪開催」断言のIOCコーツ副会長に批判殺到…「国民の安全より大事なんだね」(5月21日中日スポーツ)
コーツ発言は傲慢さの発露「答えはイエス」はIOCと組織委にとっても痛い“悪手”…記者の目(5月22日スポーツ報知)
如何でしたか?
今回は”はったり男爵”ことIOCのジョン・コーツ調整委員長が5月21日の会見で「東京五輪は緊急事態宣言下でも開催する。」と述べた事について書きました。この”はったり男爵”という表現を使われた東スポの記者に敬意を表します。
記事を書いていると、あらためて日本国民不在で五輪ファーストの姿勢が明確に感じられて、怒りと絶望感がひしひしと迫ってくる感じがします。一刻も早く、五輪・パラリンピック東京大会は中止して、無駄な税金を使ってしまう金額が少しでも少なくなる様に、と切に願います。
一人でも多くの方が、この状態を「おかしい!」と声を上げて下さると嬉しいです。