城北の雑記林 by 彰篠宮

JOC理事の山口 香女史、五輪東京大会についてかく語りき…という話。

こんばんは
管理人の彰篠宮です。

今回は、昼行灯ばかりのJOCの中で、ただ一人気を吐く山口香理事がいままでどの様な見解を述べて来たかを振り返ってあれこれ書きたいと思います。

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2021年1月の談話

その当時、山口女史は、「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出や変異型への懸念もあり、「残念だけど、難しい」というのが冷静で、現実的な感覚なのだろう」…と主張しつつも、 1月28日、共同通信放送協議会運営委員会での講演で次の様に述べておられます。

「国民を巻き込み、どういう状況ならできるのかを示しながら理解を得ていく方向に議論ができればなと思っている」

この時点では、五輪・パラリンピック東京大会の開催に向けてオープンな話し合いが必要との認識を示していました。

2021年2月

この月には、前東京五輪組織委員会前会長森喜朗氏の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」という女性蔑視とされる発言を契機として、森前会長の辞任〜新会長選出までのゴタゴタがありましたね。

その頃も山口女史は次の様に語っています。

「現状では東京五輪・パラリンピックの延期や中止を求める方が多い。五輪・パラリンピック開催に向け、情報を開示し、オープンな議論をして国民に安心感を与えたり、世界の人たちにメッセージを出したりするのが大切だと思ってきた。(今回の発言は)議論自体を否定することにも重なるので、五輪・パラリンピックのイメージがダウンしかねない。」

JOC山口理事「東京五輪イメージダウンしかねない」 森氏には発言の真意説明する責任(2月16日琉球新報)

基本的な部分では前月とは変わって居ないように思います。

その一方で、同月下旬の2月22日には毎日新聞の電話取材で

「国民は感染の増加と減少を繰り返し経験してきた。緊急事態宣言が解除されても、簡単に感染再拡大の不安は拭えない」

として、海外からの観客の受け入れは断念すべきだとの考えを明らかにしているので、明らかに危機感を強めた発言も出るようになっていました。

2021年3月

2021年1月に東京都などに発出された新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う緊急事態宣言が足掛け3ヶ月目に突入した3月には、山口女史の危機感を感じさせる発言が目立つようになりました。

3月2日、BS-TBSの報道番組「報道1930」に生出演した際、

「私は国民に安心、安全ということを言うのであれば、『最後の最後でどうしてもダメな時は当然、中止もあり得ます』ということを言うべきだと思います。『どんな状況でもやる』と言われると、たとえば頂上が目の前にあるから、こんなに天候が悪いのに、荒れているのに、命がけで行くんだ、と言われているのと同じ」

「引き返す勇気は当然、お持ちだと思うんです。それを伝えてくれないと、やることありきで進んでいるんじゃないかと感じてしまうと思う。そういうことを言うと、不安をあおると感じられていると思うんですけど、私は逆だと思う」

過日の拙Blog「IOC首脳の高飛車な態度に対して違和感が沸騰する…という話」でも紹介した様に、IOCの調整委員会委員長のジョン・コーツ氏は、この山口女史の見解に対し次の様にコメントしています。

「(大会中止の検討は)全くしていない。組織委や日本(政府)、東京都、JOCも検討していないことを知っているので、そういうコメントが出るのは少し面白い。我々は(JOCの)山下(泰裕)会長から全面的な支持を得ている」

IOCと山口女史との東京五輪についての認識にはかなり大きな隔たりがありますね。

山口香JOC理事 開催ありきの東京五輪に「『どうしてもダメな時は中止もあり得る』と言うべき」(3月2日スポニチアネックス)

また、同番組では更に、

「昨年の夏頃、分散開催というのも申し上げたことがあったが、もうその時期は過ぎたと思います。5カ月を切った中で、今さら分散開催などということはもう不可能に近いと思います」

「海外からの観客を入れないというのも即時に決める。そして、たとえば関係者の人たちをどうコントロールするか、こういうふうにコントロールできればやれるんじゃないかというのをどんどん決めていくしかない。一刻の猶予もない」

「(対策を)やってるんでしょうけど、情報が出てこないだけだと信じたいです。今の感じだと『安心、安全の対策に努めてやっていきます』というコメントはよく聞くんですが、具体的なことが出てこない。私を含めて、国民は何をやってるんだろう?というのが見えてないのが実際」

と述べており、五輪をやりたい人たちの動きの悪さばかりが目立っていることに対する山口女史の苛立ちを感じさせます。

山口香JOC理事 “安心安全五輪”具体策見えない状況を憂慮「情報が出てこないだけと信じたい」(3月2日スポニチアネックス)

同月の文藝春秋digitalに収録されている有森裕子女史との対談の中で、以下のような事を述べておられます。

【山口香×有森裕子】改めて開催の意義を問う「東京五輪、国民は望むのか」(文藝春秋digital)

まさに「正鵠を射た」指摘がズバズバと出てきます。

2021年4月

 

「五輪がトンネルの先の光となるような空気はなさそうです。7月23日の開会式のイメージですか? 浮かびませんね」

「いまは司令塔がはっきりしない。このまま、ぐだぐだな感じで進んでいくのではという空気が国民を不安にします。ワクチン接種も進まず、国内外に向けて安全に開催できると説明する根拠を示すことができない。頑張っているというだけではね」

山口香さん「開会式イメージできない」 五輪3カ月前に思うこと(4月23日毎日新聞)

「五輪無観客」の覚悟必要 日本オリンピック委員会理事・山口香さん(4月24日毎日新聞)

後者の記事で山口女史は「無観客での開催も」とも述べています。ところが、東京五輪組織委員会は当社、4月中に方向づける、としていた国内観客の競技場での観戦について、ズルズルと6月に決定をずれ込ませています。すべてが後手後手になっている感じが明白です。

2021年5月

5月12日、中日新聞のインタビューで「開催された場合、どういう意味を持つ大会になると思うか?」という質問に対し、山口女史は次の様に語っています。

「開催に突き進む意義や価値を国民に伝え、感じさせることができなければ、負の遺産として残る可能性がある。結果として感染拡大につながれば、アスリートや五輪への反発につながりかねない。五輪後のスポーツを考えたときに、開催がプラスなのかマイナスなのか、よく考える必要がある。」

その他にも

といった問にも答えており、この中日新聞の記事は読み応え十分です。下のリンクは当該記事のスクリーンショットです(新聞記事は月日が経てばサーバから落とされてしまうので、画像を取っておきました)。

<五輪リスク>開催意義 説明できない JOC理事・山口香さん「コロナ禍国民に不平等感 強行なら「負の遺産」」

(5月20日追記)

5月19日にも、共同通信のインタビューに以下のように答えています。

「国民の多くが疑義を感じているのに、国際オリンピック委員会も日本政府も大会組織委も声を聞く気がない。平和構築の基本は対話であり、それを拒否する五輪に意義はない」

「(開催可否の判断は)もう時機を逸した。やめることすらできない状況に追い込まれている」

ー追記以上ー

 

現状を冷静に見つめ、開催賛成派でも反対派でもなく対話を重視する姿勢で物事を語る山口女史はなかなかの傑物だな、との印象を小生は抱いています。

組織委員会も、政府も、JOCもやるべきことを何一つやっていない。それでいて、「五輪は開催」「安心安全、安心安全…」「絆」「五輪の原点」などと言われても、国民の五輪開催を祝福する気持ちには繋がらないと思います。

 

如何でしたか?

今回は、昼行灯ばかりのJOCの中で、ただ一人気を吐く山口香理事がいままでどの様な見解を述べて来たかを振り返って「JOC理事の山口 香女史、五輪東京大会についてかく語りき…という話。」と題して記事を書きました。

一日も早くこの欺瞞に満ちた東京五輪を中止し、税金の無駄な浪費を食い止めて、新型コロナウイルス感染症の蔓延により困っている人々の支援を行って欲しいと切に願います。

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